タクシーより下りてきたコンタルスキー氏。奥様と杖とともに歩いてらっしゃいましたが、2年前にお会いしたときよりも格段にお元気そうでした。というより、お元気でなければできない量のレッスンをしていただきました。何と4日間、のべ15時間(!)。私たちのためにザルツブルク市内から離れたご自宅より毎回車で通ってくれました(彼はもうモーツァルテウムではレッスンをしていないそうです)。
彼の指摘はとても理路整然。納得できて、しかも普遍的でした。
一番重要視していたのは「楽譜どおり」。これはあたりまえなようで、実のところここまで徹底しているのは初めてでした。細かなアーティキュレーションを忠実に守っていくと、不思議と音楽が見えてきます。それに作曲家の時代・個人様式を合わせて考えます。
そして、細かなペダリング。2台ピアノの可能性を使い尽くすかのように、とても立体的な音を作ります。ほかの先生たちには、どちらかというと「もっとフォルテ!」と言われることが多いのですが、彼は逆に「もっとピアノ!」。そして、ほんのちょっとのタイミング・音色のずれも見逃しません。何度「もう1回!」と言われたことか‥
普段言われたことは結構さっさと出来てしまう私たちですが、コンタルスキー氏の指示は限界すれすれで、ものすごく刺激的でした。正直、すぐにできるような代物ではありません。先生いわく、「君たちにはつまらないこと(基本的なこと)を言わなくていいから楽しい」だそうです。
というわけで、「コンタルスキー・デュオ」の秘密の一端に触れられた今回、私たちは決定的に影響を受けました。今後の演奏は確実によくなる(はず)ですし、これから(気の早い話ながら)他の人に伝えていくこともできると思いました。
さて、仕事の後はもちろん一杯。彼は食事のときはいつも白ワインを飲んでいるように思いますが、彼が言うには「節度をもって」飲んでいらっしゃるそうです。奥様は苦笑されていましたが‥?そんな中でのお話は、また
つづきで。