1月22日(月)
早朝。
どうにか発表会も終わった翌日、朝からステンツェル兄ことハンス・ペーターのレッスン。
前日に弾いたブラームス「シューマンの主題による変奏曲」。彼に言わせると、私たちの演奏は「足りなすぎ」だそうだ。
ものすごいエネルギーの奔流に私たちは圧倒され、感動。ステンツェル弟(フォルカー)やタール・グロートホイゼンにレッスンを受け、自分たちでも比較的いろいろ勉強してきた曲だったけれど、「こんな曲だったなんて‥」。彼いわく、「この曲は、弾くなら弾け、弾かないなら弾くな!」(こんな激しくは言わなかったけど)。
ハンス・ペーターは音楽をするために生きているような人で、例えばレッスン中に忘我状態とでもいうようなことになる(シューマンにもそういう話がある)。友人から聴いた話によると、レッスン中踊りながら壁に激突したらしい。彼のような「音楽への集中」は、今の私たちの目標。
友人のレッスンも見学し、昼。
学校にはトーンマイスター(録音技師)さんがいて、その彼のところにお邪魔。というのは、2枚のCDを注文したつもりが2枚のLPが来てしまい、レコードプレイヤーを持っていない私たちは彼のところでダビングさせてもらうことに。あと先日の私たちの録音の為に彼がわざわざパッケージを作ってくれたので頂きに。優秀でとても親切な録音技師さんです。
そのLPはレーガーの3曲の2台ピアノ作品をコンタルスキー・デュオが60年代の録音したもので、トータル2時間、じっくり聴きました。これがまたすごい演奏。やはりこのデュオは別格で、最近デュオのレベルが全体に上がった、などと言っても今のデュオは全然、彼らからしたら箸にも棒にもかからない(言いすぎ?)。(アルフォンス・コンタルスキー氏のおもろい自己紹介は
こちら。)
夕方。
友だちのひろみちゃんは歌曲伴奏科。彼女の伴奏するリートの試験があったので聴きに。彼女の演奏をちゃんと聴くのは実はこれが初めてだったのだけれど、これが本当に素晴らしかった。全く知らない分野なのでこれからいろいろ教えてもらわなければ。ハンスもいつもレッスンでリートの話するしなあ。そんなひろみちゃんは翌日のレッスンで伴奏の先生とあの「シューマン変奏曲」を偶然弾くことになったそうな。うーん、関係の深い私たち。
夜。
セルビアから来ているデュオの同級生と飲み会。彼らは英語が堪能だけどドイツ語はさっぱり、こちらはドイツ語以上に英語がダメときているので、いったいどうなることやらと思っていたものの、楽しい会に。彼らがいい人なのと、やはりうまいビールのおかげ。
彼らはロストック入試の直前にデュオを結成、最初はあやしかったものの、最近は本当に素晴らしい演奏をするようになった。昨年はローマのコンクールで最上位に。これはステンツェルの先見の明かも。特に新しい音楽が好きで、前日の発表会では「チック・コリアのテーマによる変奏曲」を華麗に演奏。楽しかったなあ。ちゃっかり楽譜を拝借。
過ごし方によってとても濃い音楽生活のできるロストック。ものすごい刺激になったので、今年も頑張れるかな。でもこんな長々書いていたらだれも読んでくれないかな、このブログ。
某月某日(火)
夜。
日本語のできる台湾人の友だちがピアノを弾く、クラリネットのコンサート試験。前半はヴァイオリンを加えたトリオでストラヴィンスキー「兵士の物語組曲」とバルトーク「コントラスツ」。彼女のピアノの快演もあっていい感じ。
しかし、後半‥
レーガー(またか!)のクラリネット五重奏曲。これは作曲者最後の作品で、浄化された世界とでもいおうか、感動的な音楽、なのだが‥演奏ボロボロ、ぐしゃぐしゃ、めちゃくちゃ。
聞いたところによると、何と全員そろった練習は演奏会前日からなのだそうだ!有り得ない。クラリネットの女性はもうオケで演奏しているけっこうなキャリアの持ち主だそうだが、こんないい加減なことをしていたらいつか音楽の神様から天罰が下ると思う。本当に許しがたい。
そのピアノの友だちいわく「なんで死にそうになるとクラリネットの曲書くんだろねー」。
もし、周りの作曲家の誰かがクラリネットに入れ込んでたら、止めてあげねば‥なーんて、「クラリネット四重奏(クラ4本)」を書いた我らがもりもりともくんは今でもピンピンしてますな。