音楽に言葉は要らない、というけれど。
確かに「(これ、いいよね)」と、音を通して心を通わせることもある。というか、そういうものだけれど。
しかし、教えるってのはそれだけではいけない。どうしてこれが素晴らしいのか、ちゃんと言葉で説明しなくてはいけない。しかも私がしているのは分析の授業。本来は比喩すら使ってはいけないのかもしれないが、しかしそこはこちら楽師、学者じゃない。
それでも、難しい。ふさわしい「言葉」を見つけられない限り、自分の気持ちは空転し、生徒に伝わることはない。先々週のシューベルト:ピアノ三重奏曲D929第2楽章の授業はまさにそうだった。生徒に演奏させながらの授業なので形にはなるのだが・・
あんなに素晴らしい音楽!ベートーヴェンの一周忌に公開演奏されたこの曲が「見よ、太陽が沈むのを」の歌だけでなく、「英雄」(とその葬送)との強い音楽的関連を持っていることに気づいたのはよかったと思う。しかし、まったく言葉が足りなかった。
さて、先週。この作品の2、4楽章だったのだが、前日になって演奏者がキャンセルになり、1対60の逃げ場のない1時間半に。ああ、こういう巡りあわせだよな、いつも。
結果、災い転じたかはわからないが、ともかく自分を思い出した。そういえば、ぼくはいつも80点が取れる人じゃなかった。いつも30点、40点だけど、たまに258点とかになるんだった。