高校の同級生、末永匡くん(ピアノ)と奥様の貴与さん(クラリネット)の演奏会へ。
会場は入間市文化創造アトリエアミーゴというところで、元は紡績工場だったそうですが、これが実に素晴らしい空間。この演奏会はご自分たちで企画されていて、あまり普段はクラシックに縁のなさそうな近所の人たちも気軽にこれるように、という考えのもと、シリーズ化されているものです。そんな雰囲気も、一瞬ドイツに来たみたい。
結局開演時には満員になり、追加の椅子まで出ました。そんなお客さんに合わせて内容も入門編、などということは全くなく、まず自分たちのしたいことをするぞ、といういさぎよい姿勢。そして何より演奏が「!」付きの素晴らしいものでした。
前半はご夫妻によるデュオでシューマンの作品。長くドイツで生活されていた二人による息の合った対話は、室内楽っていいなあと改めて感じさせました。おもわず「3つのロマンス」の2曲目で拍手が来てしまったのは、そんないい演奏の証。
後半は末永くんのソロによるショパン。これがまた名演。いや、名演というだけでは言葉が薄くて軽くて、彼がこれまでいろいろ積み重ねてきたこと、音楽に限らない、人間そのものの厚みがそのまま音楽として伝わってくるようでした。あまり知られていないノクターンの演奏では、近所のおばちゃんたちとともに、すーっと吸い寄せられていきました。空気が変わるって、これか!
本当に素晴らしかった彼のショパン、5月25日にショパン・フェスティバル 2010 in 表参道で演奏されるので、ぜひ聴いてほしいです。
詳細は
こちらより。
後日、あらためてご夫妻と会食。これが、また話がはずみ、というより深まり、久々に頭を使った・・末永くんの音楽の素晴らしさの根源は、この言語能力にあるのでは、というほどで、彼の話を聞いていると、何だかドイツ語を聞いているような錯覚に陥ってしまいました。自分がどれほど普段怠けて、寝ぼけて生きているかがよーくわかりました。
芸術家にとってもっとも大切なのは「完成すること」ではない。常に悩み、戦いながら、自らを鍛えていくことなのだ・・と、彼の存在は語っていたように思います。本当に素晴らしい音楽家になった。しかもさらに、大きくなっていくだろうなあ!