毎年、クリスマスから大晦日までの時期に、ステンツェル先生がケルンの近くでマスタークラスをしている。彼らより案内をもらっていたので、日本からもどったら申し込もうと思ったら「申し込みしめきり:12月1日」とのこと‥この手のマヌケなことが多い私たち。それに今回は受講者がいっぱいいるそうで(そろそろマイアミもあるし)、私たちが後から入る余地はなさそう‥というわけで今回はミュンヘンにて年末。日本にいるときにNHKの番組でやってたケルンの大聖堂というのをひと目見たかったなあ。
「マスタークラス行こうと思ってたけど、これこれこうで、参加できなかった」とヤアラさんとアンドレアス氏に話したところ、年末の29日にレッスンをしてもらえることに。今年最後のレッスンはリストの「ドン・ファンの回想」。この曲については、以前相方が
何か書いてたな‥おや、偶然にも今と同じ取り合わせ(「ドン・ファン」と「幻想曲」)。
いまだに私がドン・ファンのパートを弾くと、「おや、オックス男爵(ばらの騎士の)登場?」というような惨状‥でも、先日のリサイタルとは全然違う傾向の作品で、気分転換にもよい感じ。
彼らのレッスン、とてもよかった。
まずアンドレアス氏、リストが得意に違いない。
いつもは奥さんにおされ気味(失礼)の彼も、今回のレッスンでは一歩も譲らず、主導権を確保していた!(先生たちのレッスンは、レッスン内容だけでなくて、そこらへんもとてもおもしろい)。また、ピアニスティックなこと、聞いたことのない素晴らしい指使い、など、本当にためになることばかり。確か彼のお母さんの先生がリストの弟子か何か‥じゃなかったか。
そして、ヤアラさん。彼女は楽譜を物語のようにとらえる。
ちょっとでも曖昧なことがあると「ビシッ」っとついてくる。そして、ばらばらだった音符はつぎつぎと関連をもって、生き生きしてくるのがすごい。私たちの準備不足もあって、100%彼女のアイデアを吸収できたわけではないけれど、とてもよい方向性をもらった。そして、音楽が劇的になった。
それにしても、リスト。この人はいったいどんな体力をもっていたやら‥
「ドン・ファン」についてはまた改めて書くこともあるだろうからとりあえずおいておくけれど、この人の曲はクライマックスかな、と思ったあとがすごい。シューマンもいう「どこから力を得ているのか、唖然とするほかない」。
それでは皆さま、よき新しい一年を。
来年はリストにあやかってたくましくいきたいと思います。
そろそろ外から、新年を祝う花火が聞こえてきました。