ドイツへ来てから、いろいろなデュオの演奏に接しました。そのなかでも印象的な人たちのことを記録しておきます(順不同)。
Vilija Poskute & Tomas Daukantas
特に連弾に魅力を発揮するデュオ。何といってもSchubert: Fantasie!今年聞いた全てのデュオ演奏のなかで一番感動しました。他にはLiebermann: Variations on a Theme by Mozartが(Tomasのキャラと相まって)おもしろかった‥。
Richard und Valentin Humburger
21世紀のコンタルスキー兄弟。現代作品(Kagel,Leyendecker)は他のデュオが決して追随できないすさまじいレベルでした。その一方でMozart、Schubertなど古典的な作品でもしぶい秀演を聞かせてくれました。
Lutoslawski Piano Duo (Emilia Sitarz & Bartlomiej Wasik)
デュオ界最高美形デュオ(でもカップルではない‥)。顔だけでなく演奏も美しく、Debussy: Six epigraphes antiquesは大人の表現で聞かせました。Bartlomiej編 Tchaikovsky: Romeo&Juliet-Overtureは2人のキャラそのまま!
Duo Yu & Ai (山崎裕&濱本愛)
ミュンヘン音大の練習室にてSchubert: RondoとRachmaninoff: Fantasie-Tableauxを聞かせてもらいました。私たちのイメージする「日本人的演奏」とはまた違った、音楽に対して誠実でしかも新鮮な印象を受け、とても刺激になりました。
Duo Vis-a-vis (Polina Grigoryeva & Yulia Yurtchenko)
Stravinsky: Concerto‥彼女たちを超える演奏は聞いたことがありません。ほとんどペダルを使わないMozart:Sonate K.521の演奏も耳の良さを感じました。イタリアで一緒にホームステイしたのもいい思い出。演奏とまるで違う(?)本人たちのやさしい雰囲気にびっくり。
Victor and Luis Del Valle
彼らとは直接話したことはありませんが、ミュンヘンで聞いたMozart: Sonte K.521は驚異的。あんなに自然で楽しいモーツァルトがあるとは‥他の作品においては少々「?」のこともありましたが、お客さんの熱狂度No.1。ラブラブ兄弟。
Mona und Rica Bard
2年前のマレイ・ドラノフ以来のお付き合い。以前はドイツものの作品には強みを発揮するものの、他の作品にはちょっと不器用なところがありました。が、最近イタリアで聞いたRavel: La Valseは彼女たちの変化を感じたいい演奏でした。
Lunkenheimer Piano Duo (Ines & Katja Lunkenheimer)
彼女たちいわく「今回のミュンヘンコンクールでいいモーツァルトとシューベルト演奏はほとんどいなかった」‥その言葉の通り、彼女たちのモーツァルト・シューベルトは本来のドイツ音楽を思わせるとても「しっくり」くるもので、私たちもああいう演奏がしたいものです。
Christine Gerwig & Efraín González Ruano
ドイツ人とメキシコ人のデュオ。Bizet: Jeux d'enfantsやRavel: Rapsodie espagnolの「歌」がすばらしかったです。メキシコ人の彼が、練習の合間にいつも発声練習していたのも印象的。美声でした。
Stanislava Varshavski & Diana Shapiro
ミュンヘンで聞いたときは「??」でしたが、その後彼女たちはボストンに留学し、マイアミではいい方向へ変わってきていることを感じさせました。本選のマルティヌー、前日までほとんど弾けていなかったのに、当日きちんと間に合わせてきたところに力量とキャリアを感じます。
De Stefano Piano Duo (Francesco & Vincenzo De Stefano)
「ターミネーター」と一部ではいわれているほど、強烈な演奏を見せる(全く笑みを見せない)双子の彼らはまだ19才。アンサンブルと暗譜の能力も驚異的。音楽的に足りない部分はこれから時間が解決していくことでしょう。そうなればとてつもないデュオの誕生です。
Piano Duo Yoshie & Takashi (白水芳枝&藤井隆史)
Schumann: Andante und Variationenの丁寧、やさしさ、愛情‥とてもすばらしかったです。他の作品でもそこかしこにその点がみられ、日本人の美質だなあ、とうれしくなる演奏でした。ちなみに彼らの「尾高尚忠: みだれ」は外国人に大うけしていました。
いろいろなデュオに出会うことができたこの1年、私たちは幸せでした。
それでは皆さま、よい新年をお迎えください。
Kuni SEO & Shin-ichiro KATO Piano Duo
相変わらず20世紀の2台ピアノ作品を得意とする一方、(以前より多少は改善されたものの)ドイツの古典派、ロマン派作品、連弾作品はまだまだな点が多い。とはいえ2005年の後半、デュオとしての力量をだいぶ増した模様。特にBartok: Sonataの演奏は特筆されてよい。
‥というわけで、2006年はさらにじっくり勉強していきます。徐々にですがいろいろな方に聴いていただける機会を作っていこうと思っていますので、今後ともよろしくお願いします!