国立音大のピアノの門下4年生2人の追いコン。
ひとりは県立高校の音楽教諭に。何だかすごい倍率を突破したらしい。がんばりやで、しかしこれまでなかなか結果がついてこなかった。悔しい思いもしただろうし、こちらもけっこう厳しいことを言ってきた。最初は「ピアノ科には入らないでね」というところからはじまったのだから・・本人のがんばりが結実して本当によかった。卒試の成績もよかったらしい。
もうひとりは一般企業へ。そのきっかけはショパンだとか。というのは、国立音大発行の履歴書に卒試の曲を書く欄があるそうで、そこに「ショパンのソナタ」と書いたところ、これを弾いたことがある(!?)という社員さんの一声から、社長が採用を決めたとか。のんびり屋の本人、こちらも気長に付き合ってきたが、ようやく音楽が欠かせないものになってきたか。活動を続けたいという気持ちに理解のある会社だそうな。で、給料もいいらしい。・・芸は身を助ける?
音大に入ってどうなるの?大丈夫?という声がある。親としたら(自分のこととして考えてみても)心配になると思う。では一般大学なら就職の心配はないのか?もしいい大学に入ったとしても、それはそれでの悩みもあるのでは。4年間、ひとつのことに向かうこと、音楽を磨くことが自分を磨くことなのだから、音大だけがマイナスということは絶対ない。まして、音楽を特技とする者なら、最も自分を成長させることができるはずでは。問題はどう過ごすか、どう卒業していくか、だろう。
ぼくの門下からこれまで一人もニートを出していない、というのが今のところの誇りで、少なくとも、自分の問題意識に生徒たちは応えてくれていると思う。もちろん、これからまだまだ続いていく人生だから、みんなのこの先もちゃんと見届けたい。
さて、この時期恒例の1日桐朋カンズメ、デュオレッスン、1日目。曲目だけでも。
ブラームス:2台ピアノのためのソナタ 第1楽章
プーランク:2台ピアノのためのソナタ 第4楽章
尾高尚忠:みだれ
ショスタコーヴィチ:コンチェルティーノ
ラフマニノフ:交響的舞曲 第3楽章
メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第2番 第1楽章(こちらは連弾版ではなく、本物のピアノトリオ)
みんなよく準備している。なかでも個々の能力を超えた演奏は、ああこれがデュオの力だな、とうれしくなる。おそらくソロの力も引き上げているはず。「みだれ」は今回はじめて。以前は苦手な曲だったけれど、学生たちと学んでいくなかでこれは重要な曲なのかもしれない、と思えるようになってきた。まず1938年の作品というのにびっくり。いつか自分たちでも弾いてみたい。