久々の新作、初演。
この演奏会では7つの日本人作品が演奏されました。それぞれの作品がそれぞれの世界を持っていることを、大変興味深く聴かせていただきました。その中に自分の作品もあったわけですが、そのことよりも何よりも、この演奏会の成功はただ素晴らしい演奏家たちのおかげでした。
三善作品を歌ったアンサンブルPVDの皆さんも素晴らしかった。しかしながら当夜は何と言っても、若きアンサンブル「ケフェウス五重奏団」。あれだけ難しく違った6つの作品を、新作発表の例にもれずに練習期間の短いなかで、あれだけ自発的で素晴らしい音楽として聴いている人たちへ届けることができたことは、奇跡的としか言えません。演奏家としての私自身にも大変な刺激となりました。
私の作品を弾いてくれたケフェウス五重奏団の堤奈津子さんと篠崎陽子さん、どうもありがとうございました。当日のゲネプロでお二人の演奏が素晴らしかったので「困ったなあ」と思いました(というのは、たいてい練習でうまくいくと本番はよくないため)。しかしながらこの2人はゲネプロをはるかに超える演奏を本番でやってのけました!
あれだけ素晴らしい演奏に接すると、こちらも応援したくなります。今はまだ自分のことで精いっぱいですが、いつかお願いする日が必ずめぐってきます。それまで彼らには音楽とお酒のアンサンブルを続けていてほしいと強く願っています。
Point de Vue vol.4 ~ケフェウス五重奏団、アンサンブルPVDを迎えて~
2010年2月26日(金) 府中の森芸術劇場 ウィーンホール
築田佳奈:HALO ~フルート、クラリネット、コントラバスのための(新作初演)
加藤真一郎:クラリネットとマリンバのための<セクエンツィア>(新作初演)
池田哲美:漆黒のクオリア ~5人の奏者のための~(2007)
川島素晴:5人の奏者のための「ソナタとエキシビション」(新作初演)
森山智宏:Night Passage II (新作初演)
鈴木輝昭:プレアデス エミッション ~5人の奏者のための~(1997)
三善晃:トルスII(1961)/招待作品
ケフェウス五重奏団
遠藤佳奈子(Flute)、堤奈津子(Clarinet)、篠崎陽子(Marimba)、長屋綾乃(Percussion)、田中洸太郎(Contrabass)
藤井宏樹(Conductor)、アンサンブルPVD(Chorus)、根本英亮(Piano)、平井和音(Electric organ)