今回、演奏で参加させていただいた「サントリー・サマーフェスティバル」。これは本当にすごいシリーズで、主催者に感謝すべく飲料はすべてサントリーにしたい、と思っているほど。10日間、現代音楽、サントリーホールを全面使用、4つのプロ・オーケストラと2つの日本を代表する現代アンサンブル、初演、細川俊夫さんのオペラ、作曲賞、しかも私たちの演奏まで・・しかし今回のクライマックスはシュトックハウゼン「グルッペン」のN響による再演だったと思います。
”この曲を「金管の響きが右回り左回りする曲でしょう」というのは、ベートーヴェンの<第五>が「ジャジャジャジャーンの曲でしょう」というようなもの”と清水穣さんのプログラムノートに書いてあったけれど、これまでまさにこれくらいの認識しかなかったのでした。
しかし、これだけ素晴らしい演奏と万全なホールで接すると、もはや「ジャジャジャジャーンの曲」なんて、絶対にいえません(あの有名な金管の部分も、それからおこることの前触れにすぎない)。こんな巨大な曲が、ただひとりの作曲家のなかから生まれ出で、現実に形となったことを、もはや信じられませんでした。
先生が話してくれたこんな話を思い出す。
シュトックハウゼンがコンタルスキー・デュオの弾くブラームスの「ワルツ集」を聞いて、「なんと多様なんだ・・!」と興奮しながら楽屋にやってきたこと。
いろいろなことを考えさせられたこの数日。日本とは、ヨーロッパとは・・
しかし、こんなことを考えていると、なぜかリンクしてしまう杉山洋一さんの文章を、自分のことを書くかわりにご紹介いたします。エトヴェシュを弾き終わった後、満面の喜色をたたえて楽屋へ祝福しにきてくれた杉山さん。うれしかったなあ。
しもた屋之噺
さて、文化庁の研修でドイツへ向かったのが2008年9月3日。この一年間で自分たちがどう成長したかはこれからですけれど、何とたくさんのすばらしい体験をすることかできたか・・ドイツからの山のような荷物に埋もれながら、感慨無量に、部屋を片づけています。